突然言われた私は、この仕事に向いてない、辞めなさい、と言われたときにも瞬時に判断はできなかった。
お世話になっているのは当然重々承知しているし、でも、辞めれと言われてもどうしても納得がいかない。そもそも私が辞めるのは自分で決めた時だ。
黙って話を聞いていた。
君には向いてない、、、何をそう思って言ってるんだろう。
私に何か資質が欠けているんだろうか。
でも、、、思い当たらない。一生懸命やってきたつもりだ。
その経験値のない中で私話を聞いていてひたすら思ったのは、私がなぜ行政書士をやめなければならないのだろう、というそこの一点だった。
借りにも自分のお金で行政書士会に登録をし、自分のお金で開業しやってきた。(当たり前だが)でも先生には間借りしているときに、入金が入ってこず家賃(間借りの分)を待ってもらっていることはあった。そこか?それなのか?それが向いてないということなのか。それはそう言われれば仕方ない部分ではある。
辞めたら仕事どうしようかな。何をしたらいいんだろう。。。
でも、もう少しがんばらせてもらえないかな。
なんて、ぼぉっと考えていた。
間髪入れずA先生が言った。
「顧客名簿を渡しなさい。」
いえ、もう少し待ってください。もう少し私、がんばってこのお客さんを回ってみます、と言うのが精いっぱいだった。
それから少し営業活動の時間を多くし、仕事はアルバイトの子と相談しながら、日中できることやお客さんとのやりとりを少し任せ、自分は以前のお客様のところへ訪問することをしてみた。
でも、全然、ぱっとした反応はない。
想定した通りだ。
何日か過ぎ、顧客の開拓はどうだ、と何度も聞いてくる。
そんなに簡単に結果は出ない。
じりじりとした何週間か過ぎた。
そんなことが続いた日、A先生から君はやはり行政書士には向いてないね、辞めなさい、そしてうちの事務所を出ていきなさい、と言われた。
いえ、それはもう少し待っていただけないですか、と私が言う。
そんなやりとりが数回続いた。
さすがにその頃になると私ももうこれは本当なんだ、先生は何をしたいのだろう、私は本当に辞めなければならないのか?と思い始めた。
(続く)
佐々木ひとみ