#15 『2024年問題のセミナーでいつも思うこと』

ご無沙汰しておりました。
しばらくメールが来ないけど、と読んでくださっている方からお叱りを受けておりました。
本当に申し訳ありません。
怒られながらも、まだ楽しみにしてくださっている方が少しでもいらっしゃるんだと思うと
そのお叱りもまた嬉しく思っておりました。

いろいろいろいろあって、気持ちが沈んでいるとなかなか書けないものですね。
こういう文章って。

さて、最近あちこちで2024年問題についてのセミナーが活発になっております。
もちろん、私も講師としてあちこちでお話させて頂いておりますが、
実際には厚生労働省から出た骨子案をただただなぞってお話したところで、
いったいどうなんだろうと思うことが最近多々あります。

もちろん今度の改善基準に関しては、熟知しておくことが大切ではありますが、
大事なのはもっと先。自分の会社にどうやって当てはめていくか、ということですよね。
もうそういう時期なのではないかと思うのです。

半分はあきらめている会社。
半分は2024年に向けてなんとか努力して近づけて行こうとしている会社。
あちこちで見ているとそんな気がしてなりません。

でも今回の骨子案を見て本当に愕然としたのは事実です。
詳細にあのルールを入れていって計算してみてください。どれだか時短になるか。

私は一応法律家のはしくれとして、ルールを出来る限り守りましょうという話をして来ました。
でも今回はちょっとすぐにの対応は無理なんじゃないかなぁと思っています。
まず荷主さんも変わってくれないと。運賃も時間の拘束(無理な着時間指定や何時間も待たせる出荷等)も。

毎日毎日いろんな運送会社にお邪魔させてもらってきて、
今までなんとか守ろうと努力してきた会社を私もたくさん見てきました。
でもさすがにこの時短は無理なんじゃないかと心配するくらいシビアな数字なんですね。
今回の新改善基準の骨子案は。

こんなに時短にしたら、給料そのものの考え方がたぶん崩壊する会社続出です。
だからと言って給料下げたら暴動が起きかねません。ましてや今はドライバー不足。
1人でも今欠けたら大変って会社がいっぱいあります。

そんな中で、「先生時短と給料の改善していきたいのですが」と相談を受けても、
ドライバーさんにモノも言えない会社が多く『どうしましょうね、これ』ってことになり、
何にも解決できないことが多々あります。言えば騒動になる、もしくは辞められると困ると。

でもその相談の根っこにある大きな問題としては、
労働時間の正確な把握をしていないというところであって、
それはやってもらわないと解決できない。
すべての基本中の基本のところなんです。
これは会社側も勉強不足の時もあるし、
ドライバーがしっかりとルールを守ってくれないからということも多々あります。

そして、固定残業に頼ってしまっていて、多く払っているからいいんじゃないか。
というところでお茶を濁してしまっているのです。

私とチームを組んでいる厚生労働省出身の弁護士は固定残業には否定的です。
繁忙期と閑散期が非常に激しい場合のみ、それでも45時間が限界となります。

良かれと思って固定残業をたくさん支給していたばかりに、残業代未払いで訴えられた際、
その多額な固定残業代を基本給に組み入れられて再計算されて
目が飛び出るほどの残業代を請求されている会社はたくさんあります。
だから本当はやらない方がいい。

そして、これからは今まで従順に従ってくれていた高齢のドライバーの定年退職がいよいよ多くなってくることでしょう。
そうするとどういうことが起きるかというと、新しいドライバーをいれなければならず、
信頼関係がない故に何かトラブルが起きるとすぐに内容証明が届き裁判になる
というケースが後を絶たない状況をご存知でしょうか。

また残念なことにそういうふうに訴えてくるドライバーの殆どが成績としてはあまり芳しくない方が多く、
辞めさせたいけれども我慢して使っていたのに、ということが多いのも事実です。

そういうのも、こういうのも、すべて解決策の一番目にしなければならないのは正確な労働時間と残業時間の把握です。
これができていない会社がほとんどなのです。

出庫・入庫で給料計算をしている(これ間違いですよ)、
法定休日と法定外休日の区別すらつけていない、休日割増なのか、残業代でいいのかの理解もできていない。
深夜残業の計算もしっかり把握できていない。まずはここからなんです。直していかねばならないのは。

でもドライバーによっては、3時間走って3時間休みを繰り返している人もいます。
休息期間(休憩時間ではなく)8時間(新案は最低9時間)が取れていないと、
所定の労働時間としては計算できない場合も多い。
所定労働時間なのか、残業時間なのか、区別がつかないということが多いのです。

じゃ、面倒だから先生、最近話題の歩合給はどうでしょう、という方も増えてきました。
私の親友の瀧澤社労士、チームの本間弁護士ともにオール歩合給は反対です。もちろん私も。
訴えられて敗訴している会社の判例もあります。だから今は危険。
本間弁護士においては、1分単位で労働時間を把握しているなら百歩譲っていいけれども
自分が関与している会社以外ではやって訴えられてもかばいきれないと話しています。

でも運送業の専門家としての立場から言わせてもらえれば(えらそうですみません。)
なんの歩合給なんでしょうと心配になるんです。

歩合ってからには何か基準があるはずで、キロ制?時間制?個建?売上ベース?回数?それとも大型小型の基準?
一体何の基準で決めるのでしょう。どれも競争になりかねない非常に危険なものではないでしょうか。
そして不公平感を引き起こしかねない。

これから、世の中は時短で出来る限り働かせない方向にいる中、
上記の基準は、長時間労働を引き起こす原因になりかねない。
とすればなんの基準で歩合給を決めるのでしょう。

何度も言いますが、基本は『基本給+残業代』です。
でもそこの上限が決まっているから、
そこから先の伸びしろを「歩合給」として補填していくのです。楽をしようとしてはいけません。

そして今年度の各ドライバーの月ごとの正確な総労働時間と
(所定労働時間と深夜早朝を区別した残業時間)を把握する必要があります。
そこから、個々のドライバーの労働時間を来年度どう調整するかということが始まるのです。
それから会社はどう考えていくのかを決めねばなりません。
決めることはたくさんあるのです。2024年になってから考えたのでは遅いのです。
(実のところ、もうすでに来年でも遅いと感じてもいます。)

そこから先は各々の会社で考え方が違うので、すこし入り込んだコンサルタントとなります。
ただ、佐々木の使える時間も顧問契約先が一番優先となります。
そして、それは、お電話や数回の訪問で解決するものでもありません。
最近は佐々木の時間も限界に近づいているというのも事実です。
今、関わっている会社様だけでも結構な時間を占めています。

なので、もしもう少し聞きたい、もう少し詳しく話してほしいというのであればセミナーでお呼びください。
佐々木は北海道だし、交通費がちょっとという方はZoomでもTeams でも構いません。
情報は多いほどいいと思います。(聞いた方は大変混乱される方も多いのですが、、、汗)
それから時間をかけて解決するべきかどうかをお決め頂ければと思います。

それからご検討いただければ。コロナになって一つだけよかったことと言えば、
リモートでも相談ができるようになったということです。

それでもちょっと今すぐにこれ聞きたいとかのご質問等があればメールでもください。
(このメールに返信しても届きませんのでご注意くださいね。) また続編を書きます。

最後に、最近、ようやくコンビニ全体も重い腰を上げて、糖質オフなるものを販売し始めるようになりました。
ビールではもう皆さんよくご存じの通り、糖質オフは当たり前のように聞きますよね。
これだけ大企業がこぞって糖質オフを掲げているのはなぜかわかりますか?

普段の食生活が当たり前だと思ってはいけません。
今の食生活を繰り返していると糖尿病予備軍にまっしぐらになるのです。
1980年代には100人に一人だった糖尿病がこの40年で6人に一人となっているのです。 

そしてドライバー教育で佐々木が口をすっぱくして何度も言っていた
「脳疲労」が最近またテレビラジオ等でもよく言われ始めました。
ここと糖尿病の関係もまた次回。
この続きもまた続編として。


投稿日

カテゴリー:

タグ: