やった、これで私の言っていることが証明された。
ほっとすると同時に、ほら、言ってるとおりでしょ!といわんばかりの顔で警官たちをぐっと見た。警察官は何も言わずただ黙って頷き、これで終了します、戻りますね、と言い帰路についた。
あとは、今回の件をすべてまた記録してそれに間違いないか確認してもらうためにまたお呼びします、と言われた。面倒なことだ。
そうこうしているうちに、私も警察に着き、自身の車に乗り換え、家に戻った。
その後、一向に連絡がない。
ある日、保険の方から連絡が来た。
佐々木さん、ご報告です。この件については、警察の手から離れました。
あとはお互いの保険で修理代を出し合ってくださいとのことです。
はぁ、と私がなんとなくの返事をしていると彼は続けてこう言った。
今度は裁判になるそうです。
は?また面倒な?
あ、ご安心ください。ここから先は担当の弁護士がやりますので、もう佐々木さんが携わることはないと思います。
やっぱりこの間の現場検証が効いたみたいですよ。佐々木さんの言っていることが本当だということが理解できたみたいです。ただ、向こうには目撃者がいますからね。云々。
あ、そうですか。わかりました。では、私は何もしなくてもいいんですね、と聞くと、
大丈夫です、との返事。
なんだかなぁ、、、そうは言ってもきっとまた何か言ってくるに違いない。
絶対に負けない。何かあって裁判所に呼ばれたら思いのたけを存分に話してやる。
そう思いながら私はまた日常生活の雑務に没頭していった。
それから2年ほどしたときだろうか、久しぶりに保険の方から携帯に電話があった。
その名前を見て、おお、なんて久しぶりなんだろうと思うくらい、まったくその間音沙汰ひとつなかったのだ。
はい、と電話に出ると、お久しぶりです、という言葉に続き、佐々木さん、終了しましたとの言葉が聞こえてきた。
ん?どういうこと?と聞くと、彼は、いろいろとあったのですが、最終的には被疑者不在ということで決着つきました。もうこれで本当に終わりです、終了しました、と言った。
よくわからないな、と思いながらも、これで本当に終了したのですか?と聞くと、
はい、もうこれですべて終了です、と。
そっか、終わったんだ。
あっけない終わり方に拍子抜けして、実感すらなかった。
が、その日いろいろとまた思い出しては考えてみた。
もうその事故から3年が経とうとしていた。
長かった。でも、これで終わったんだ。じんと心に染みていくものがあった。 (続く)
佐々木ひとみ