『私はなぜ今ここに…』 第17話

 

その前に現場検証なるものにも立ちあわされた。

私は一人で立ち会うのが嫌で保険の方にも同席をお願いしたが、残念ですがと、言われ断られた。考えてみたら関係のないことではある。

 

そして、なんと、そのときには私一人なんだろうという予想とは違い、彼らもいた。

しかも、首いてぇ、と言っていたやつは首にわざとらしく大きな頸椎用のギブスもどきをつけ、腕は三角巾で吊り、足を引きずってきた。見るだけでイライラした。

 

中島公園へつながる橋はかわっぷちが2車線、そこの交差点で左折用にと1車線増える。

当時、なぜか私の車は左車線にいたと報告されていた。

 

警察からその交差点に来たときに、佐々木さんの車はこちらの左折用の左車線にいたんですね、と聞かれた。驚いた私は、え?なぜですか?私は直進しようと思っていたので、一番右の車線にいましたよ、それくらいブレーキ痕とか残っていてわからないんですか?と言うと残念ですが、当日はものすごい豪雨でブレーキ痕はありませんと言う。

 

そうすると、また例のやつらが、おねぇちゃん嘘言っちゃだめだよ~と言ってくる。お前は左車線にいただろう?と口を出してくる。

私は震える身体を隠すように、彼らを無視しながら、私はすすきのに向かっていたのです、ですからここで曲がることはありません、右車線にいました、と再度訴えた。

 

しかし、警察は信じない。

あなたはこの左折レーンから急に思い立ったように直進しようとして戻ろうとしたときに待っていたこの人たちの車にぶつかったんではないですか?と聞かれた。

 

仮に私が赤信号で入ったとしたって、なぜ、そんな運転をしなければならないのだ。

怒りで体がまた震えた。

 

あのですね、スピードも出てて私の方は青で私は直進なのに、わざわざ左折レーンに入り、そこから直進に戻る人っているんですかね、私は毎日十数年も運転してますけれども、いかに間違ったとしてもそんなトチ狂ったような運転をする人を見たことはありませんよ、と声を震わせながら強い口調で言った。

 

あぁ、でもいろんな人がいますからね、と信じてももらえず、私は私の主張を繰り返し伝えてその場は終了した。

 

終わった後に、保険の方に再度電話し、こういうことになっているらしい、しかし私は諦めずに徹底的に戦います、弁護士つけてください、と話をした。

 

そして、事情聴取の日は来た。

 

警察からはその日は相当時間がかかるのでご了承ください、と言われてはいた。

しかし、こんなことに巻き込まれたうえ、仕事忙しい中、こんなことにまた時間を取られていくことが無性に腹立たしかった。

 

警察のとある部屋に連れていかれ、その時の状況をひとつひとつ詳しく聞かれていった。

当然、向こうは私を赤で入ったと思っているから、それをひとつひとつ強く否定しながら、その当時の状況をこうだったのだ、と伝えた。

現場検証のときと同じだ。

 

長い長い時間が過ぎ、聞き取った紙には一言一句すべて記載され、何十枚にもなった。

そしてその長い文章をご丁寧に読み上げ、最後に警察が、これで被疑者の言っていることはすべてですね、間違いなければサインをしてください、と言ったときに怒りが頂点に達し、爆発した。

 

あのですね、被疑者ってなんですか。

私、何か悪いことしましたか?私は青で入っているとすべてきちんと時系列で話をしたはずです。そこに何か矛盾点でもありましたか?

 

私は被害者です。その私がなぜ被疑者扱いされているのですか。

そもそも考えてもみてください。向こうは4人乗っていたのですよ。当然、後続車もいたはずです。〇〇組ですよね。目撃者なんていつでもねつ造できるじゃないですか。

 

通常、常識的に考えても行政書士の言っていることが嘘で、〇〇組の言うことが正しいとお考えか?私は100キロ出していました、シートベルトもしていませんでしたとそこは正直に言っていますよね。仮に間違って赤信号なのに侵入していたのだとしたら、それは罪を認めて素直にそのくらいは謝罪しますよ。

あまりにも失礼じゃないですか。撤回してください。その言葉。

もう我慢も限界です。私は徹底的に戦いますよ。白黒はっきりさせようじゃないですか。

 

と激しい口調でまくしたてた。

 

しかし、警察は冷静に、

 

佐々木さん、青だから絶対に交差点は大丈夫なんてことはないのですよ、動いている同士、交差点の中で何が起きても不思議ではないのです、だから停まれる速度で交差点は通行すべきです、停まれる速度で走っていればそもそも事故は起きなかったのではないですか?

 

この件に関しては今の段階ではどちらも被疑者です。どちらも青で入ったと言っているのですからね、ですからどちらかが嘘をついていると思われますが、それがはっきりするまではどちらも被疑者と言わせてもらうことになります。ご了承ください。

 

と言われ、それはその通りと思い黙った。

 

しかし、警察はそのあと、もし佐々木さんの言っていることが本当なのならば、再度現場検証をする必要があります、時間取れますかと聞いてきた。

 

もちろん、と私は答え、今日はこれで帰りますと言って後日の連絡を待った。

(続く)

 

佐々木ひとみ

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