「事故が減ったのはこれだ!?」 第2話 (全5話)

 

その半年前にその営業所にお邪魔した際、講習後に再度所長と会食をしたときのこと。

いろんな話の中から「先生、私以前調理人だったんですよ。」とその所長が話し出した。

 

このあいだね、ドライバーが精気のない顔しているもんだから、『どうした、元気ない顔して。何かあったのか?』と聞いたら『ええまぁ』とね。

なもんだから、『よし、昼飯作って待っていてやるからしっかり今は運転して帰ってこい、何食べたい?』と聞いたら、『カツ丼が食べたいなぁ。』って言うもんだから、作って待ってましたよ。

そしたら、そのドライバー、帰ってきたらニコニコしてね。カツ丼うまいです、ってあっという間に食べてしまいましたよ。

先生、俺、本当に料理うまいんですよ。最近、おでんとかナポリタンとかいろんなもの作ってみんなに食わせてやるんです。近所でも評判なんですよ。

 

…それって自腹なの?と聞くとそうです、でも、一人の分だけ作るわけにいかないでしょ。と。へぇ。自分の給料で。

じゃ、私も今度来たら食べてみたいな。と言ったらどうぞどうぞ何でも言ってくださいとのこと。じゃ、ナポリタンが食べたいな。2月か3月にまたこの辺寄るから行ってもいい?と聞くと待ってます、との返事。

 

それからあっという間に時が経ち、連絡一つしないまま、その近辺に行く日が近づいた。前日に「明日行きますが、お邪魔してもいいですか?」とだけ連絡を入れた。

「お待ちしております。」との所長の返事。では「1時半頃着くバスで行きます。」と伝えた。

副所長が迎えに来てくれて、営業所に入っていくと、なんとナポリタンができていた。

おそるおそる食べてみるとなんと美味しいこと!そんじょそこらのレストランよりずっと美味しい。気が付いたら完食。というか、なんとこの営業所の中の明るいこと。

ドライバーさんもみんな帰ってきてそれぞれにナポリタンを食べている。あちこちから笑い声。

 

私が数か月前に言ったナポリタンが食べたいということを覚えていてくれた。きっとドライバーにもそうしているんだろうな。ドライバーのみんなも数年前から見たらとっても明るい。みんなで喋っているし、笑い声が絶えない。これなんだ。事故が無くなった要因は。

 

聞くと、最初のころは自分も所長になったばかりで売上に追われていて必死だった、ドライバーも兼ねてやっていて、本当に寝る時間もなかったのだそうだ。

でも、必死にやってきたおかげで売り上げもそこそこ伸びてきた。事故起こしながらもドライバーも一生懸命ついてきてくれた。これからです、うちの営業所は、と話していた。

 

こんなにも営業所のこと、仲間のこと、必死で考えている人もいないなと改めて考えさせられた。所長の本気度がドライバーにも伝わるいい事例を見せてもらった。 (続く)

 

佐々木 ひとみ

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